2010年6月6日日曜日

BM98について語ろうか

BM98について語ろうか。今回は趣向の異なるゲームBM98について。BM98はBMS(ビーエムエス、Be-Music Source fileまたはBe-Music Data Fomat '98)とも言われる、1998年、やねうらおとNBKによって考案されたMOD感覚で音楽製作、演奏が可能なファイルフォーマットのことである。

要はコナミが出したビートマニアのPC版コピーということになる。ビートーマニアについては別の機会に話したいが、このBM98が一大ブームとなる時期があった。いわゆる音ゲーと呼ばれるジャンルは上記のビートマニアが作り出したわけだが、このBM98はビートマニアより細かい点では完成度は劣る。ただし、ビートマニアより、ユーザーの自由度と拡張性は遥かに上をいっていた。そういった意味で非常にオリジナリティあふれるコミュニティを作り出した。

端的にいってしまうと、楽曲をプレーヤーが自由に作ることができた。故に様々なプレーヤーが自分の好きな楽曲をビートマニアライクにプレイすることができたのである。そういったユーザーは自由に楽曲を公開しあい遊びあった。私の記憶が確かなら、楽曲はほとんど無料で提供されていて、もちろんププラットフォームのBM98も無料だった。そういった意味では商業的な成功は全くなかったが、インターネットにおけるインパクトは大きかったと思う。またユーザーがオリジナルの楽曲を提供することもあったが、殆どはゲーム音楽だったり、J-POPソングだった。MIDI音源をもとに作ればBM98楽曲を作ることはさほど難しいことではなかったからだ。

そしてコナミがBM98に対してゲームとしての敗北宣言ともいえる法的措置をとらざるを得なかくなる。それをきっかけに結局は楽曲の著作権が問題となり、ブームは下火となっていった。 まあある意味BM98はオープンソースの規格としてあったため、誰かが中心となってプロジェクトを立ち上げたのは間違いないが、主体の無いプラットフォームとして拡大した。こうした名もなきクリエーター達に対してゲームクリエーター、否、ビジネスとしてのゲーム会社は対応する術がなかったのだろう。現在であれば、また違った形になったかも知れないが、仮定の話をしても仕方がない。いずれにせよ、僕らは当時、ユーザー参加型としての音楽ゲームの楽しみに魅了されたのだった。

プロとして曲を書くことは出来ない、楽器は弾くことができない、だけど音楽は好きだった。そんな人達を集めて魅了して、皆が楽しんだ。そして、その一部は本当のプロミュージシャンになったかも知れない。エミュレーターやマジコンを全面的に肯定することは到底できないし、創作物に対しては敬意を払うべきである。仮定の話をしても仕方が無いといいつつ、元の楽曲作成者に、またはコナミに還元する仕組みがあったなら、どうなっていたのだろうと考えたりもする。

仮にそうだったとしても、音ゲーは次の段階にいってしまっていて、今、BM98が新しいブームを起こすことは考えづらい。遊び場のブームはブームとして消えていく。次の遊び場はどこかにできるのだろうか。それとも、そういったものは全て刈り取られてしまうのだろうか。でも僕らはそういった遊び場があったことは当事者として永遠に記憶に刻みながら、次なる遊び場を探している。僕らが遊び場を探している限り、そこに遊び場はできる。

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