今回のタイトルは餓狼伝説。1991年にSNKが発売した2D対戦型格闘ゲーム。さまざまハードウェアに移植された。スーファミ、メガドラ、プレステ2、Wiiにまで。でも僕がオリジナルで触れたのはアーケードに筐体だった。酒屋の前の薄暗い場所に4台ほどおかれた筐体。100円を入れて4種類のゲームから選んでプレイする、今ではもう見ないタイプの筐体だった。
運動は苦手で、友達をつくるのも上手くなかった僕は、このゲーム筐体に夢中になった。100円を何枚か握り締め筐体に向かっては全額が無くなるまでゲームに興じた。お金がなくなれば酒屋に入って日が暮れるまで立ち読みをして過ごした。アーバンチャンピオンで遊んでいた時よりかは行動範囲が広がっていた。にしても、僕の行動範囲の中心にあったのは、いつもゲームだったと思う。
実はこのゲームが生まれる91年にはストリートファイター2が発売されている。オリジナルのストリートファイターは87年だ。ただし、酒屋の軒先におかれていたゲームは餓狼伝説だったし、いわゆるゲームセンターに行ってスト2をやるのは少し先だった。スト2について語るのはこの先に譲ろう。
SNKがリリースをした餓狼伝説は、いま考えればストリートファイターに多くを影響されたものだったのろう。 タン老氏などキャラクターもストリートファイターに出ていてもおかしくなさそうである。しかしながら餓狼伝説にはオリジナリティあふれるアクションが多くあった。先のタン老氏を例に上げれば、戦いの後半には急激に大きくなり、強くなる。シビアな駆け引きの対戦ゲームを考えればなんとめちゃくちゃな仕様だ。ただし、この餓狼伝説では全く問題ない。なぜなら使えるキャラクターはテリー、アンディ、ジョーの3人のみなのだから。
このゲームバランスクラッシャーな発想は、続々と続く続編、餓狼伝説2、餓狼伝説スペシャル、餓狼伝説3、リアルバウトシリーズにも受け継がれていく。 このバランスクラッシャーとしての要素は対コンピューター戦をより面白いモノにしてくれた。そう、敵キャラクターの予想外な動きに僕らは興奮した。
このゲームが子供でも楽しめた理由は他にもある。使用キャラクター3人の特徴である。主人公であるテリー・ボガードはオールラウンドなキャラクターだった。パンツ一丁男のジョー・東はネタとしての存在感を放っていた。アンディ・ボガードはテリー・ボガードと兄弟で、日本的な技を使うキャラとして、ちょうどリュウとケンの位置にいた。当時はまったく疑問に思わなかったが、なぜパンツ一丁のムエイタイ使いが主人公キャラクターとして存在していたのだろう。
実はこのゲーム簡単に敵を倒す方法がある。アンディ・ボガードを使い斬影拳のあとしゃがみ大キックを打つのである。これでほとんのキャラクターを倒せる。実はタン老氏のみ、これが当てはまらないのだが、そんな時はジョーの出番である。パンチ連打の爆裂拳、起き上がりにこれで倒せる。バグともいえる仕様だが、これが子供には優しかったし、これで十分楽しかった。当時のゲームの目的は格ゲーであろうともゲームクリアだった。
そしてこれでゲームをクリアできたあとは、他のキャラクターで普通にゲームをクリアすればいい。いわばゲームの遊び方はプレーヤーでも開発できた。ストイックなまでの判定や目押し連続技のつなぎなどは必要なかった。いわばそんな時代に生まれた、ハリウッドスタイル的なゲームが餓狼伝説だった。僕はこれ以降、100メガショックのNEOGEOに魅了されていくのであった。
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