2011年8月2日火曜日

M.U.G.E.Nについて語ろう

再開、一回目はMUGENについて語ろう。MUGENとは知る人ぞ知るフリーのゲームエンジンだ。画像やデータなどを用意することで自分オリジナルのキャラクターが動かせる格闘ゲームエンジンである。以下はWikipediaカラの引用である。

このゲームエンジンは非常に自由度が高く、商業2D格闘ゲームなどに見られる機能であれば、ほぼ全て実装できる。様々なキャラクターや ステージを追加でき、アドオンで体力ゲージやキャラクター選択・タイトル画面などを変更できる。発表されているキャラクターの種類は自由であるため、ユー ザーはゲーム、作品等といった既存の枠組みを超えた対戦が可能である。M.U.G.E.Nオリジナルのキャラクターも多数存在しており、オリジナルキャラ クターの中には既存ゲームに匹敵するような完成度のキャラクターもいる。

日本国内のポータルサイトを見ると明らかなように、キャラクターは著作権で保護された既存のゲーム作品のグラフィックデータ・音声データを違法にコピーしたものが多数である。ポータルサイトではそれについて一切言及せず、多数のユーザーがそれを意識せずにプレイしている。

(中略)

M.U.G.E.Nのキャラクターやステージのデータは、主に以下のようなファイル群で構成されている。
defファイル
キャラクターやステージの基本設定を示すファイル。キャラクターの基本情報や、どのファイルが使われるかを記す目次のようなファイル。キャラクターを登録する場合、このファイルを指定する。

cmdファイル
キャラクターの技のコマンドや発動条件を制御するファイル。

cnsファイル
キャラクターの心臓部とも言える、動作を制御するファイル。定数やステート定義によって細かく挙動を指定でき、格闘ゲームの枠に囚われないキャラクターを作ることも可能。M.U.G.E.Nにおける「キャラクター製作」とは、主にこのファイルの製作を意味する。

sffファイル
キャラクターの画像を複数まとめて格納したファイル。ゲーム中のグラフィックだけでなく、選択画面や体力ゲージで表示されるポートレイト、攻撃のエフェクトなども含まれる。

airファイル
sffに格納された画像を実際にアニメーションさせたり、攻撃判定、当たり判定などを指定・制御するためのファイル。

sndファイル
キャラクターの音声や効果音を格納したファイル。

http://ja.wikipedia.org/wiki/M.U.G.E.N 

MUGENよって何が出来るのかといえば、例えばガンダムVSエヴァンゲリオンなどの格闘ゲームが作れるのである。しかも上記に上げたファイル群の多くは公開されている場合が多く、簡単にファイルを追加するだけでキャラクターを追加する事ができる。また議論の余地はあることはもちろんだが、その元データはROMから吸い出したものであったりすることも多い。すなわちキャラクターのデータはオリジナルに匹敵するのである。

当時の我々はファイルを交換しあい、あり得ないキャラクター同士の対戦格闘ゲームを作って遊んだのである。

このMUGENというシステムは90年代の終わりに登場したわけだが10年以上経った現在から見ても非常に興味深い。今回はそのうちの3つのポイントに絞ってまとた。

1.格闘ゲームとにおけるチューニング

MUGEN をプレイしたことのある人で合えば誰でも感じることであろうが、MUGENのゲームバランスはかなりおかしい。というのも当たり判定や必殺技の攻撃力はユーザーが勝手に作るのである。そりゃ強いキャラクターと弱いキャラクターの差が大きくなる。それによってプレイヤーが感じるのは非常に大味なゲームと言う印象である。

そして原点に立ち返るのである。格闘ゲームの醍醐味はキャラクターだけでなく、非常に緻密なゲームチューニングであると。

1994年に発表された「エックス・メン チルドレン オブ ジ アトム」を筆頭に格闘ゲームにおけるキャラクターの重要性は揺るがない。ただし一方でゲームのチューニングはどうであろうか。例えば、2008年に発表された「ストリートファイターIV」は非常にチューニングがされており、事実評判も良かった。そしてこのゲームが現在アーケード格闘ゲームの救世主となっている。

MUGENはその性質から格闘ゲームのチューニングについて非常に多くのことを残したと言えるだろう。

2.キャラクターの権利と世界観

MUGENの多くの特徴は、そのキャラクターの無法性である。スト2のリュウが登場したり、KOFの草薙京が普通に登場する。しかも数多くのバージョンで。版権など関係なしに。そしてそれこそがMUGENの面白さなのだ。

 法的な問題は数多くあるだろう。権利の保持者はキャラクターの世界観を守るためにNOというかもしれない。が、しかしMUGENはあくまで場外プロレスなのだ。メインストリームになることは無い。むしろキャラクターの知名度が向上するということも言えるだろう。

80年代〜90年代において競合ゲームのキャラクターを自社ゲームに登場させ合うというジョークが流行った。 たとえばお墓で登場したり(リンクやロトの墓)、背景キャラクターに混ぜ込んだりした。これらは結果的にゲーム業界を盛り上げることに繋がる。

そして現在のVSシリーズにおけるゲームがこの流れを組んでいると思っている。Xメン、マーブル、鉄拳などなどである。プロレスと言う意味でどんどん取り組んでいいのではないだろうか。キャラクターは外に出るべきである。ゲームのキャラクターは守られる存在ではなく、ユーザーによって作られる存在という側面があるということだ。

3.ゲームエンジンという発想

3Dゲームが多くなった現在、ゲームエンジンは非常に重要な存在となった。Unity Technologies 社の Unity 2.1などは非常に有名なゲームエンジンである。それの多くはゲーム開発工数を下げるといった側面のみ注目されているが、果たしてそれだけなのだろうか。

MUGENもゲームエンジンだという発想に立ち返れば、多くのことが見えてくる。オープンなゲーム開発や、ユーザー参加型のゲーム開発という視点である。ゲームエンジンはそのユーザー同士のコミュニティも重要なのである。

全ての点においてMUGENは新しかったが、これらゲームエンジンの開発においても「MUGENならこうできた」という発想を持つことで新たな視野が生まれるだろう。






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